エスピーニャ~役作りについて~
こんばんは、エスピーニャです。。。
ちがいます。
いずみです。
今日は、朝から風が強くて、あまりの寒さにとうとうコートを引っ張り出してきました。
ヒートテック・ロングTシャツ・セーター・ウィンドブレーカーそしてコート。
5枚・・・さらにマフラーを巻き巻き・・・完璧です。
皆様は大丈夫でしたか?
さてさて、先日無事に幕を閉じました【幻想狂詩曲】ですが、今回はわたしの役について少し書きたいと思います。
今回のわたしの役は、初めての悪役でした。
最初、悪役と聞き、台本を読んだとき、正直な感想は「えー・・・わたしにできるのかなあ・・・」というものでした。
こんな、きっぷのいい鯔背で姉御肌な女性を演じたことは無かったので、取り掛かりがどこなのかもわからなかったです。
「ふんっ」とか「雑魚が!」とか「冥途の土産に教えてやろう」とか・・・
どんな顔してやればいいんだろうかと思っていました。
そう思っていた矢先、劇団四季の【ノートルダムの鐘】を観る機会がありました。
もともと、予定していなかったのですが、父母が観に行くものが急遽ダメになってしまったので、代わりに観に行ったのです。
そこに出てきた、ジプシー女の”エスメラルダ”と言う女性。
彼女を観た時、これかもしれない!!と、思いました。
その時から、エスピーニャを演じる時は必ず彼女を意識しました。
いつものイカロスの森とは違う、大きなKAVCの舞台と言うこともあり、彼女のダイナミックで妖艶で、粋な振舞いを思い出し、あと、劇団四季で練習されるという母音で台詞を発声するという練習もしました。
例えば、「いいんだよ!三度のおまんま、食べさせてくれりゃ!」を、母音で発音すると「いいんあお!あんおおおあんあ、あえあええうえあ!」になるのですが、これをすると、本当にはっきりと発音出来るし、話しやすかったです。
観てくれた家族や友達が、「声が聞きやすかった」「活舌がよかった」と、言ってくださったので、効果はあったかなと思っています。
初めて、ヨーコさんの前でエスピーニャを演じた時、ヨーコさんがちょっと考えた後「うん!いずみちゃんも今回はこれでいこうか!」と、言ってくださった時は思わず「やったー!」と、言ってしまいました。
それから、役作りをしていったのですが・・・
初めは、悪役と言うことで、出来る限り極悪非道の悪人になりたいと思っていました。
最終的に結局実は色々と事情があって本当はいい人・・・みたいにはなりたくないと思っていました(苦笑)
観てくださった方はわかってくださると思うのですが、エスピーニャの正体がばれて、マイと対峙するシーン。
マイを抱きしめた後、彼女を殺害してしまうわけですが・・・
あれは、初め、和解したと見せかけて、殺す・・・と言うものを考えていました。
完全なる演技で、エスピーニャは情の無い殺人マシーンのようなものをイメージしていました。
でも、練習するうちに、ヨーコさんから、もっとエスピーニャの心の揺らぎを見せて欲しい、と言われ、機械的でない、人としてのエスピーニャについて考えました。
エスピーニャの裏設定を自分で考えていいということで、彼女の生い立ちも勝手にいろいろと考えました。
実は、王家の血筋を引いていて魔法の力を秘めている。
権力争いに敗れ、赤ん坊だったエスピーニャは乳母に連れられ、森の中に逃げ込むも、乳母も力尽き、山犬に食べられそうになるところを暗殺集団の長に拾われ育てられる。
暗殺者の娘であると信じ、人を殺す力を身に着け、それが当たり前だと生活していたが、長が息を引き取る時、本当の両親は別にいることを告げられ、自分の出生がわからないことに戸惑う。
しかし、今更、暗殺者としての自分の生き方を否定することも出来ず、自分はいったい何者なのかと自問自答する・・・みたいなことを考えていました。
その内容を里佳さんに聞いていただき、最後のマイと対峙するシーンについても掘り下げていきました。
マイが、みんなを守るために立ちはだかり、両手を広げた時
ふと、視界にポンテムの顔が入ります。
その時のポンテムの表情がエスピーニャに対して、憎悪や嫌悪だけではないんですよ。
里佳さんに聞いたら、その時は「頼む!殺さないでくれ!」って、祈ってる。
と、仰ってました。
劇中、ポンテムと絡むのは出会いのシーンと、料理のマジック中に少し親しそうに話すだけですが、ポンテムとエスピーニャはとてもよく似ているんです。
ただ、ポンテムはポジティブで生きることに明るく、エスピーニャはネガティブで世界を憎んでいる部分の根底が違うのですが、生き方もよく似てるなあと思ってます。
だから、エスピーニャはポンテムに憧れを抱いているんです。
それは、マイに対してもですが、自分も素直に明るく陽の下で生きられたらと密かに願っています。
だから、そのポンテムに心配そうに見つめられたとき、ふっと心に迷いが生まれます。
スロズイやはむにゃん、そしてニールとも、嘘のなかよしごっこをしてきたつもりだったけど、マイの言う通り、確かに自分はここに居て、楽しい時間を過ごしたことを一瞬にして思い出します。
マイを抱きしめた時、マイもそっと抱き返してくれるのですが、その瞬間、ほんの僅かですが自分でもホッとします。
このまま、ここで生きられたらいいのに・・・
そう、思うと同時に、自分の生き方はやっぱり否定できない。
今更、許されるはずはないと思い込んで、結局、彼らの手を取ることが彼女は怖いんだろうなと思います。
ごめんねと、呟いてました。
だから、ニールにとどめを刺されたとき、苦しみながらもどこかほっとしている自分がいました。
息絶える前、必ずニールを見つめていたのですが、うまく表現できていたかはわかりませんが、一瞬微笑んでました。
最後のフィナーレは、もしもの世界です。
もしも、ボタンを掛け違えることなく、うまく着こなせていたら、本当にあんな風に、みんなで笑い合えることもあったと思います。
ギターのたけちょうさんにも言って貰えましたが、この、マイとの対峙シーンやフィナーレを気に入ってくださった方がいらっしゃいますが、マイのエスピーニャに対する語り掛けが小屋入りしてからどんどん胸に響く、心を打つ語り掛けになってきました。
演技ではなく、本当に心を揺さぶられたんです。
それに、マイとエスピーニャを見守るポンテム、スロズイ、はむにゃん、ニール、そして、楽士たちも。
あの時、みんなが同じものを見ていたなと感じています。
シーンは残酷ですが、
幸せな瞬間でした。
終わってみて、エスピーニャもわたしにとって愛しい存在になりました。
観てくださった方々から、「よかったよ」「はまり役だね!」なんて言っていただけて、嬉しい反面「自然だった」「そのまんまだね」と、言われると・・・え、わたし、そんな怖いですか???と、ちょっと複雑です・・・でも、楽しんでもらえて嬉しいし、新しい一面をお見せできたかなと思っています。
IZUMI